Q.
娘が高校時代に広島原爆ドーム前での平和運動に参加しました。その後、周囲の人にも平和運動への参加を熱心に呼びかけていましたが、ある日、担任の教師から「その平和運動はやめた方がいい。その運動には共産党員が深く関わっているから危険だ」と言われ、やめることができました。昨年、日本原水爆被害者団体協議会(被団協)がノーベル平和賞を受賞しましたが、この団体の運動にも共産主義思想との関わりがあるのでしょうか。
A.
平和運動と称されるものすべてに共産主義思想との関連があるとは言い切れませんが、ただ「平和」という言葉を共産主義者が好んで使うことはよくあることです。「平和」という誰も反論できないような言葉を用いることで、自らの運動を正当化し、あるいはその活動自体が絶対正義であるかのように装うことが共産主義者の常とう手段でもあるからです。
「平和主義は共産主義のベールだよ、ベール」と語ったのは、スターリンでした。つまり、共産主義思想の本性を覆い隠すための目くらましが「平和」という言葉であり、「平和主義」という理念であることをスターリンは告白していたのです。
では、「被団協」についてはどうなのでしょうか。世界中には平和運動を展開する多くの団体がありますが、それらの活動が真に平和を希求したものなのか、あるいは共産主義運動を秘匿(ひとく)するためのベールの役割を果たしたものなのか、それを見分けるためにはどうしたらよいのでしょうか。それを見分ける簡単な方法が一つだけあります。それは、中国共産党を非難しているか否かということです。
中国が世界平和の最大の敵であることを平和運動の中心に掲げているのなら、その団体は共産主義思想との関わりがないのかもしれません。中国が国際秩序を破壊していること、核軍拡にひたすら国家予算をつぎ込んで、周辺諸国を威嚇(いかく)していること、さらには国益の為であれば、法の支配や国際世論などはお構いなしに、武力の行使を公言してはばからないこと、これらのことは今や自明のことなのですから、平和を願い、世界平和の実現のために運動している団体は、何よりもまず中国の反平和的行為を厳しく断罪しなければならないのです。
「被団協」の運動が偽善的な平和運動であると感じるのは、彼らが中国に対して毅然とした非難声明をしたことがないからです。世界平和にとって最大の脅威となっているのは中国であり、核兵器廃絶に最も否定的な国は中国であり、世界で唯一の被爆国である日本を再び核攻撃しようとしているのは中国なのです。この事実に対して「被団協」の人たちはどう思っているのでしょうか。
とても残念なことですが、「平和主義」というベールに隠された共産主義運動に多くの人がだまされ、平和を願う素朴な祈りが共産主義者の欲望によって利用されていることほど、心が痛み、悲しみを感じることはありません。平和を切望する純真な心を利用し、平和を希求する小さな祈りさえも利用する、これが共産主義思想の恐ろしさなのです。
「平和主義」というベールをまとった偽善的な平和運動に騙(だま)されないことを切に願っています。そして、真の平和とはどのようなものなのか、いかにすれば真の平和をつくり出すことができるのか、よくよく考え見なければならないのではないでしょうか。