2025/01/08

「久延彦便り Q&A」(5)

Q.
 グローバリズムという言葉を最近よく耳にするようになりましたが、そもそもグローバリズムとはどのような概念なのでしょうか。また、グローバリズムがなぜ良くないのか、その問題点について教えて下さい。

A.
 まず、グローバリズムの意味ですが、地球を一つの共同体として世界の一体化を目指すというもので、一般的には国境という垣根を越えて、政治、経済、文化などを地球規模で拡大させるというものです。このような概念だけ聞けば、世界が一つになるという夢のようなお話に聞こえますが、実はそこには隠された目的があるのです。簡単に言ってしまえば、人間の極限のエゴであり、底知れぬ金銭欲です。要は、お金儲けをするためには国境が邪魔であり、世界中にいろいろな国家が存在し、それぞれの政治・経済制度があることが障壁となって自由にお金儲けができないと考えているだけのことです。

 もちろん、綺麗ごととして、グローバリズムの長所と短所を、さも真面目に解説しているわけですが、そのような表層的な理屈を取り除いてしまえば、そこに見えてくる本音はただのお金儲けであり、貪欲にまみれた人間の醜い私利私欲でしかありません。そして、このような利権に群がり、甘い汁を吸いたい者たちが、グローバリズムを推奨しているのです。

 こうした現実を熟知し、人間の欲望を満たすためだけに「世界は一つ」というような偽善的な理想を掲げているグローバリズムに敢然(かんぜん)と立ち向かっているのが、トランプ大統領なのです。ですから、トランプ大統領はグローバリズムを信奉する、いわゆるグローバリストと称される人たちから毛嫌いされているのです。日本の大手メディアや多くの知識人、学識者、さらには利権に群がる政治家や財界人たちが、トランプ大統領を政策によってではなく、人格的に攻撃するのは、自分たちの利権が取り上げられてしまうことを恐れているからです。米国ではトランプ大統領が嫌いだという人々のことを「トランプ錯乱症候群(Trump Derangement Syndrome)」と呼ぶそうですが、まさに自分たちの利権が失われ、グローバリズムという美辞麗句の裏に潜む謀略が暴かれることに対して錯乱しているということなのでしょう。

 では、グローバリズムに潜む根本的な問題は何なのでしょうか。利権や金銭欲という利己的な欲望がグローバリズム推奨の動機であることは間違いありませんが、より根本的にはグローバリズムは民主主義を否定し、国家主権を破壊するという恐ろしい思想に基づいているということなのです。グローバリズムはすべての政策決定が国際基準に従うことを理想とします。この国際基準が「グローバル・スタンダード」という言葉として流布(るふ)していますが、ここに問題の根本があります。国際基準とは何でしょうか、そして、その基準はいかにして決定されるのでしょうか。これを決定するのは、もはや国家ではなく、国連などの国際機関なのです。つまり、国家よりも国際機関を優先させることが、グローバリズムの本質なのです。

 国際機関が優先される時、国家主権はないがしろにされます。なぜなら、国民が民主的な選挙で選出した議会や政府、あるいは国家の最高法規である憲法よりも国際基準が優先するというのですから、もはや民主主義は機能せず、国家主権は侵犯されることになります。

 トランプ大統領が掲げる「米国第一(America First)」とは、国家主権が最も大切であることを謳(うた)い上げたものなのです。最終的に米国が従うのは、合衆国憲法であって、国連憲章ではありません。米国の主権を、世界保健機関(WHO)や国際刑事裁判所(ICC)などに譲渡することなどできないのです。世界経済フォーラム(通称ダボス会議)などは民主主義の敵であり、国家主権を毀損(きそん)するグローバリストたちの欲望の巣窟(そうくつ)になっています。

 グローバリズムという幻想から私たちは目覚めなければなりません。「地球は一つ」などという美しい言葉の奥に潜む邪悪な欲望に心を奪われてはなりません。国家の行くべき道は国民によってのみ決められるべきであり、他国からの干渉は言うまでもなく、得体の知れない国際機関に国家の命運を託すことなど愚の骨頂なのです。

 宮崎県高千穂町の天岩戸神社の参道には人知れず一枚の表示板が立てられています。そこには、「日本の政治は日本人の心で」と書かれていました。これこそが、国家の理想であり、国家としての基本原理です。国家を破壊するグローバリズムという妖怪が日本中で、そして世界中で徘徊していることをよくよく知っておかなければならないと思います。