2024/12/04

「久延彦便り Q&A」(4)

Q.
 ハーバード大学で行われている世界最長の研究テーマに「幸福と健康に関する調査」というのがあります。現時点で幸福と健康に最も影響しているのは、「同じ価値観を持つ信頼できる人との人間関係」と考えられており、具体的には経済的成功や名声より信頼できる人との結婚や友人を持つことが幸福に影響しているという結果が出ています。この調査結果を踏まえた上で、「幸福」の本当の意味について教えてもらえませんか。

A.
 まず、ハーバード大学の調査についてですが、幸福の要件として「同じ価値観を持つ信頼できる人との人間関係」があるというのは、全くその通りだと思います。人が幸福であるためには経済的な成功や名声、つまり物質的な豊かさや社会的な評価ではなく、より信頼できる人との人間関係にあるという調査結果はまさに的(まと)を射(い)たものであると思います。

 では、幸福になるための最も大切な人間関係とはどのようなものなのでしょうか。それは、次の三つの人間関係にあります。これらを人生において見出すことができれば、私たちは真の幸福を得ることができると思います。そして、このような人間関係を築くことこそ、人生の目的であり、私たちが幸福になるための絶対要件なのです。

 第一に「真の師」に出会うことです。私たちが人生において誰よりも信頼できる「師」に出会うことができれば、私たちは幸福への確かな道標(みちしるべ)を知ることができます。人生に迷ったり、行き詰まったり、また、不安や恐れに心が押し潰(つぶ)されそうになる時、いかに歩むべきかをはっきりと教えてくれ、導いてくれる人がいたとするならば、私たちはどんなに心強く人生の荒波に立ち向かうことができるでしょうか。心から尊敬できる「師」に出会うことで私たちは自信と勇気をもって人生を生き抜くことができ、どんなことがあっても、決してひるむことなく強く雄々しく生きることができるのです。

 第二に、「真の友」に出会うことです。私たちには良き友人が必要なのです。心の内を包み隠さず語り合うことができ、自分と同じ心で共に喜び、共に笑い、時には共に悲しみ、涙してくれる「友」こそが心の支えとなるのです。そして、まるで自分事のように気遣ってくれる友、そして時には自分を犠牲にしてまでも労(いた)わってくれる友、そのような「友」を見出した人は本当に幸せであると思います。自分のことを一日の中でどれほど考えてくれているのか、どれほど心配してくれているのか、その割合が大きい人こそ、最良の友であり、「真の友」と言えるのです。

 幸福になるために必要な人間関係の最後、第三は「真の伴侶」に出会うことです。つまり、真の結婚をすることです。真の結婚とは、永遠に変わることのない愛によって結ばれたたった一人の伴侶に出会うことです。そして、その伴侶といつも心を寄り添わせ、同じ人生を片時も離れず手に手を取り合いながら歩むことができるとすれば、それこそが人生における最大の幸福なのです。いつまでも共にいたいと思い、どこにでも共に行きたいと思い、何をするにしても共にしたいと思えるような永遠の伴侶に出会うことができれば、その人こそ本当に幸せな人なのです。

 では、これらの人間関係は何を土台として築かれるのでしょうか。それが「同じ価値観を持つ」ということです。同じ価値観を持つことで、同じようにすべてのものを見つめることができ、同じ目的に向かって共に歩むことができ、同じような心情を共に味わうことができるからです。そして、同じ価値観を持つ人は私たちにとって誰よりも「信頼できる人」となるのです。信頼できる人と共に過ごす時、私たちの心は平安で満たされます。信頼できる人とならいつでも喜びを感じることができ、希望に心を躍らせることができます。信頼できる「師」と出会い、信頼できる「友」を見出し、信頼でき「伴侶」に巡り合うことができた時、私たちは心からの幸福を味わい知ることができるのです。

 人生の目的とは何であるのか。それは一言で言えば、幸福になることです。では、幸福になるためにはどうしたらよいのか。それは、「真の師」に出会い、「真の友」を探し出し、そして、「真の伴侶」と結ばれることなのです。