2026年2月18日水曜日

「久延彦便り Q&A」(16)

Q.
 共産主義は平等な無階級社会を理想とする一方、現実には軍事・経済面で世界を不安定化させる要因ともなっています。なぜ理想と現実がここまで乖離(かいり)しているのでしょうか。制度の悪用が原因なのでしょうか、それとも共産主義そのものの論理的限界なのでしょうか。

A.
 まず結論からお話ししますが、共産主義の問題は制度の悪用ではありません。共産主義という思想そのものが根本的に間違っているのです。そして、共産主義が軍事・経済の両面において世界を不安定化させているのは、共産主義が人間を悪魔にしてしまう思想だからです。共産主義思想に心酔する人は悪魔となり、共産主義革命によってつくられた国家は悪魔が支配する国となるからです。

 それでは、なぜ、平等な世界を理想としてきたはずの共産主義国家が、世界を不安定にさせているのでしょうか。中国共産党政権が世界平和の実現を阻害し、世界にとっての最大の障害となっているのは、なぜなのでしょうか。

 中国共産党政権の特質とはどのようなものでしょう。それは、独裁と圧制、言論弾圧と人権侵害、そして殺戮(さつりく)と粛清(しゅくせい)です。なぜ、共産主義国家は、このような凄惨(せいさん)な弾圧を国策として行い、国民の人権を踏みにじり、国民を粛清し殺戮することができるのでしょうか。それは、共産主義が恨みから生まれた憎悪の思想だからです。その恨みとは何か、それは神と社会に対する恨みであり、また、復讐なのです。そこで、共産主義思想の生みの親であるカール・マルクスが、19歳の時に書いた詩を紹介したいと思います。それは『絶望者の祈り』という詩です。

 「神が俺に、運命の呪いと軛(くびき)だけを残して、
 何から何まで取り上げて、
 神の世界はみんな、みんな、なくなっても、
 まだ一つだけ残っている、それは復讐だ!
 高い所に君臨しているあの者に復讐したい、
 俺の力が、弱さのつぎはぎ細工であるにしろ、
 俺の善そのものが報いられないにしろ、それが何だ!」

 ここには、マルクスの神への憎悪と復讐心が表現されています。マルクスは神を憎悪しました。そして、神を信じる社会への復讐を果たすために、共産者義思想を編み出し、暴力革命によって、神への復讐を成し遂げようとしたのであり、その協力者として利用されたのが労働者階級の人々だったのです。だからこそ、『共産党宣言』は次のような怒りと恨みに満ちた言葉で締めくくられているのです。

 「共産主義者は、これまでのすべての社会秩序を暴力的に転覆にすることによってのみ、自己の目的が達せられることを公然と宣言する。支配階級よ、共産主義革命の前におののくがよい。」

 「すべての社会秩序を暴力的に転覆することによってのみ」目的が達成されることを公然と宣言し、さらには支配階級に対する憎悪から「共産主義革命の前におののくがよい」と恫喝(どうかつ)してしているのです。ここで支配階級とは、神を信じる者たちであり、さらには資本家であり、権力者のことです。何ともおぞましい、恐ろしい宣言ではありませんか。これが平和を希求し、人類の平等と幸福を追求している人が書いた文章でしょうか。

 共産主義は平等な無階級社会を理想としている、などというのは真っ赤な嘘です。マルクスが理想とする共産主義社会とは、資本家が一人もいない社会のことであり、そのような無階級社会を実現するためには暴力による転覆、つまり、暴力革命を行う以外にはないというのです。従って、共産主義が広がるところには、いつも暴力と殺戮が蔓延し、残虐な行為が繰り返されるようになるのです。

 共産主義国家の特質は暴力と殺戮、そして、反対者に対する粛清と排除であり、そこには自由も、平等も、平和もありません。事実、これまでに共産主義思想の犠牲となった人は、世界中でおよそ1億人になります。そして、中国共産党政権の下では、今なお残虐な殺戮と粛清が日常的に行われ続けているのです。

 世界史上に残る最も凄惨な虐殺として知られているのは、ナチス・ドイツによるユダヤ民族の抹殺であり、さらに人類歴史の最大の悲劇とされるのは、第二次世界大戦ではないでしょうか。しかし、ナチズムによるホロコーストの犠牲者は約600万人であり、第二次世界大戦での戦死者は約8000万人ですから、これらを足しても余りある犠牲者を生み出したのが、共産主義という悪魔の思想なのです。因みに、中国共産党政権下での犠牲者は6500万人に上るとされています。まさに、共産主義は人類にとって最も忌(い)むべき殺戮思想だったのです。

 平和を謳いながら暴力革命を肯定し、暴力による政権転覆を正当化しつつ、労働者を扇動する。共産主義とは、平和とは真逆の暴力と恐怖を振りかざす、実に恐ろしい思想なのです。それは、共産主義の理想は正しかったが、その理論構築が不十分であり、その思想に論理的限界があったからではありません。共産主義の理想も目的も、そのすべてがそもそも間違っていたのです。その間違いの根本原因は、共産主義思想が恨みと怒りと憎悪を土台として築かれているからです。恨みと怒りと憎悪からは、平和や幸福、そして、理想は決して生まれてこないのです。